エッセイ
職業としての小説家
世界的作家である村上春樹氏が、自身が小説家になった経緯や、長年プロとして第一線で小説を書き続けてきた独自の姿勢と「資格」について、率直に語った自伝的エッセイです。
- 特別な力で与えられた資格: 『自分は何かしらの特別な力によって小説を書くチャンスを与えられた』という率直な認識を、常に持ち続けている。
- 幸運に甘んじないストイックさ: その幸運に甘んじることなく、与えられた資格を大切に守り抜くストイックさを持っている。
- 書けること自体を喜ぶ: 先々の評価や他人の目を気にせず、ただ素直に感謝し、目の前の小説を書き続けられること自体を純粋に喜ぶ職人のスタンス。
僕が長い歳月にわたっていちばん大事にしてきたのは、『自分は何かしらの特別な力によって小説を書くチャンスを与えられたのだ』という率直な認識です。僕としてはそのようなものごとの有り様に、ただ素直に感謝したい。そして自分に与えられた資格を―ちょうど傷ついた鳩を守るように―大事に守り、こうして今でも小説を書き続けていられることをとりあえず、喜びたい。あとのことはまたあとのことです。
— p.53
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